開放的な断面図がとっても楽しい!すべての部屋に吹き抜けがある家「Kame House」

kamehouse01
Via:archdaily.com

突然だが、私は断面図が好きだ。子供の頃は地球の断面図や人体の断面図を見ては普段見る機会がない内部をじっくり観察して思いめぐらせるのが楽しかった。想像の中で私は地球の熱ーいマグマに飛び上がったり、ミクロの目になって、人体の中を歩き回ったものだ。

今回ご紹介するのが、断面図が美しくかつユニークな「Kame House」と言う名の住宅だ。日本の首都である東京を拠点に活動している設計家、河内一泰氏が手がけた。彼は他にも断面図が面白い複数の家の建築を手掛けている。

東京から新幹線で2時間。日本海に面した新潟県新潟市にある新興住宅地の一角に「Kame House」は誕生した。

kamehouse03
Via:archdaily.com
kamehouse02
Via:archdaily.com

外から見ると一見、どこにでもありそうなキューブ型の平凡な家に見える。ところが一歩家に足を踏み入れると、冒頭のユニークな光景が目に飛び込んでくる。

この立方体の家は南北方向に二つ、東西方向にひとつの間仕切壁で各層6部屋、計12部屋に分けられた後、中央に六角形の立体をくり抜き、出現した穴によってすべての部屋がつながるようになった。どの部屋にいても、誰かがどこかにいる安心感と広がりのある解放感が印象的だ。

家族のつながりが希薄になった今。同じ家に住んでいても壁や扉に隔たれ、家族の姿も見えず、心も繋がりにくい今の時代。実は我々が欲しいのはこんな開放的な家かもしれない。

室内の壁と床に採用されたのは60㎜厚の木材(LVL単板積層材)だ。薄い壁や床の眺めはまるでパッチワークのようだ。
さて、そのパッチワークのような家の中を見てみよう。この家の玄関はガレージの奥にある。玄関のあるガレージからもこの家の隙間を見ることができる。

kamehouse04
Via:archdaily.com

家に入ると、タイル敷きの開放的なホールへと続く。玄関からまっすぐ進んだところに階段があり、2階へと続いている。入ってすぐ右側にはゲストルームがあり、来客の際はゲストにもプライベートな空間が提供される。このゲストルームにはトイレと浴室もついている。ゲストも家主もプライバシーが保たれるため、気楽に人が泊まることができる。

ゲストルームから広い廊下を間に挟んだ向かい側にはSOHOとして使えるホームオフィスがある。家が事務所と兼用という人も増えてきている今の時代にピッタリな造りだ。事務所の隣にはウォークインクローゼットになっているため、書庫としても倉庫としても使うことができる。オフィスの隣には家族が使う浴室があり、その隣にはトイレがある。この家で2階に行くには階段だけでなく、エレベーターもあるので、重いものを持ち帰った時は、このエレベーターを使えば便利だろう。

kamehouse05
Via:archdaily.com

2階に上ってみよう。階段を上るとすぐにキッチン脇に出る。ダイニングキッチンの隣にはリビングがあり、大きなソファーとテレビが置かれている。リビングの奥の扉を開くと、2階のトイレ、そしてもう一つ扉を開けると、ウォークインクローゼットにつながっている。ウォークインクローゼットの隣には主寝室があり、主寝室の奥の扉を開けると、キッチンへつながるホールに出る。ここにはエレベーターがあり、そのまま階下に行くこともできる。これで2階を一周したことになる。

kamehouse06
Via:archdaily.com
kamehouse07
Via:archdaily.com

全ての部屋は中央にくり抜かれた大きな吹き抜けでつながっており、どの部屋にいても(もちろんトイレやお風呂はプライバシーが守られているのでご安心を。)すべての部屋を見渡すことができ、今まで体感したことのない解放感に非常に不思議な感じがするだろう。

「Kame House」はそのオープンな設計を通して、新しい家族のスタイルを提案しているのではないだろうか。

Via:
archdaily.com
kkas.sakura.ne.jp
designboom.com
japan-architect.co.jp